当院における坐骨神経痛の原因と、当院における治療の方針についてご説明いたします。
「坐骨神経痛」とは、病名ではなく下肢にあらわれる症状の総称で、おしりから下肢にかけて痛みやしびれが続く状態を言います。
坐骨神経は、坐骨を通りおしりの筋肉“梨状筋”(りじょうきん)を抜け足へ向かう末梢神経のひとつ。末梢神経は脳と脊髄からなる中枢神経と体の各部を結び、体を自由に動かしたり、温度を感じたりする“伝導路”で、主に3つの神経から構成されています。
(1)運動神経
脳から指令を送り、体の各部位を動かす神経
(2)知覚神経
痛みや温度などの感覚を、皮膚、筋肉、関節を介して中枢に伝える神経
(3)自律神経
意志とは無関係に、内臓、血管、腺などの機能を調整する神経
私たちの下肢が自由に動かせたり、バランスよく歩く事が出来るのは、末梢神経である「坐骨神経」がしっかり働いてくれるおかげなのです。
“神経”というと、細いイメージがありますが、坐骨神経は末梢神経の中で一番太く、サイズはボールペンくらい、長さも1メートルと最も長いものになっています。この長い坐骨神経は、“ 総腓骨神経 ”(そうひこつしんけい)と、“ 脛骨神経 ”(けいひこつしんけい)に分かれ腰椎から足の指まで伸びています。その為、何らかの原因でこの坐骨神経に問題が生じると、この神経の通り道でもある、おしりから下肢にかけて痛みが引き起こされるのです。
坐骨神経「坐骨神経痛」の痛みは、自覚症状であるため本人にしか分かりません。 そのため痛みの表現も様々で、しびれは「ビリビリ」「ピリピリ」「チクチク」「ジンジン」など、痛みは「ズキズキ」などと表現される事が多いです。
痛みの場所は坐骨神経が通っている、おしりから下肢にかけて起こり、片肢に症状が出る場合がほとんどですが、両肢にあらわれる事もあります。
また、上記以外にも…
・尿失禁や頻尿など、排尿障害がある
・会陰部がしびれたり、ほてるなどの異常感覚がある
など、しびれや痛みだけでない症状も出ている場合は、重度の腰椎疾患が疑われるので、早めに病院で検査を受けるようにしましょう。
坐骨神経痛を引き起こしている原因は様々ですが、主な理由として“腰椎疾患”があります。なかでも特に多い病名は「腰部脊柱管狭窄症」(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)と「腰椎椎間板ヘルニア」(ついかんばんヘルニア)です。
腰部脊柱管狭窄症は、50歳以上の中高年に多いが、もともと脊柱管が狭い人は30~40代で症状が出る人もいます。
坐骨神経痛の原因
加齢により脊柱管が狭くなる事で神経根や馬尾を圧迫し、坐骨神経痛が引き起こされます。
痛みの特徴
体を後ろに反らせると脊柱管がさらに狭くなり神経などを圧迫するため、
・高いところのものを取る動作
・腰をひねる動作
・背筋を伸ばす動作
などは痛みが出たり、痛みが強くなるのが特徴。
逆に、前かがみになると脊柱管が広がるため、自転車の運転や、靴下を履くなどの動作は比較的楽に行えます。
腰椎椎間板ヘルニアは、20代が最も多く続いて30~40代、次に10代の若い人に多い傾向にあります。
坐骨神経痛の原因
椎間板がつぶれて飛び出す事で、腰椎の神経を圧迫し坐骨神経痛が起こります。
痛みの特徴
前かがみになると痛みが出やすく、
・あぐらや横座り
・中腰で行う動作
・猫背の姿勢
などは腰への負担が大きく、椎間板が飛び出しやすくなり痛みが出安い傾向にあります。
「腰部脊柱管狭窄症」「腰椎椎間板ヘルニア」は主な病気としてご紹介しましたが、他にも骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や腰椎圧迫骨折、腰椎分離症、脊椎カリエス、腰椎分離すべり症、化膿性脊椎炎、なども坐骨神経痛の原因となる病気だと言われています。
筋肉量は20代をピークに減少していきますが、中でも最も衰えが早いのは下肢の筋肉。上肢や体幹よりも早く、大きく減少していきます。実は比較的軽症の坐骨神経痛の場合、おしりの筋肉の衰えが原因になっている事が分かっているのです。
おしりの筋肉は
・坐骨神経を保護する
・坐骨神経に栄養を供給する血管を守る
・坐骨神経を冷えから守り血流を維持する
という役割があります。そのため軽度の坐骨神経痛であれば、筋肉をつける事である程度改善できます。
また足腰の筋力低下は坐骨神経痛になるだけでなく、ロコモティブシンドロームや肥満の原因にもなりかねません。ロコモティブシンドロームを放置すると、足腰が衰え要介護状態になる危険性があります。坐骨神経痛などで歩くことが困難になると、運動不足→筋力の低下→下肢のバランスが悪くなる→さらに動かなくなる…と、生活の自立度が低下していき、介護が必要になる可能性も高まるのです。
すこし大変かもしれませんが、こうした悪循環を防ぐためにも痛みがひどくなる前に、運動療法で下肢の筋肉をしっかりつけ、改善や予防を心がけるよう努力しましょう。
当サロンでは坐骨神経痛の発症後、整形外科で検査を受けた後、整形外科で治療する案件は取り扱っておりません。病院での治療後、疾患に関してある程度の回復及び寛解後に、取り切れなかった症状のみの対応になります。ご心配のある方は医師に相談のうえ、医師の許可を頂いてからご連絡を頂ければと思います。
当サロンでは、カウンセリングでしっかりと経過や症状をお聞きしてから、脈診や腹診などの四診を行い、東洋医学的な証を立てて、経絡治療や奇経治療などを含めた上田式東洋医学総合鍼灸治療を行い場合によっては坐骨神経を狙った局所治療も行ってまいります。また、パルスを使って、坐骨神経治療を行う事もあります。患者様の不快な痛みやしびれをとるための最大限の努力をしてまいります。